被災の畑に実り喜ぶ 日田市大鶴地区の井上酒造 [大分県] – 西日本新聞

Home » 2046日田市 » 被災の畑に実り喜ぶ 日田市大鶴地区の井上酒造 [大分県] – 西日本新聞
2046日田市 コメントはまだありません



 清酒「角の井」などで知られる日田市大鶴地区の井上酒造(井上百合社長)が、昨年の九州豪雨で被災した畑を復旧し、「かくのい農園」と名付けて季節の野菜を育てている。豪雨から1年4カ月。農園は蔵人たちの希望になっている。

 畑は同社所有で約400平方メートル。これまで近所の女性が管理し、サツマイモなどを育てていたが、豪雨で近くの沢があふれて土砂やがれきが流入した。悲惨な畑の状況を見て、女性は耕作を諦めたという。

 話を聞いた同社員約10人が「それなら自分たちで何か生きものを育てよう」と提案。土砂を撤去して新しい土を入れ、手作りの看板を立てた畑で今春から、サツマイモやピーマン、ナス、トマトなどの栽培を始めた。一角は水漏れしないよう改良して田んぼにし、酒米の「山田錦」「雄町」を栽培、10月下旬に収穫した。

 昨年の豪雨では、同社にも濁流が押し寄せ、倉庫や酒米の田んぼの一部が被災している。今年は自社の田んぼのほか、被災して耕作を諦めた隣の田んぼも借りて酒米を栽培。「かくのい農園」の酒米と同じ日に豊かな実りを収穫した。

 今後は、来年4月の蔵開きで来場者に振る舞う「かす汁」に使う大根なども栽培する予定だ。井上社長は豊かに実る農園を眺め「豪雨に負けないぞ、という蔵人の思いが詰まった農園です」と目を細めていた。

    ◇      ◇

■2年ぶりの祭り盛況 大鶴、小野両地区

 昨年の九州豪雨で甚大な被害に遭った日田市の大鶴、小野両地区で4日、2年ぶりに秋の祭りがあった。青空の下、地区外のみなし仮設住宅や公営住宅で仮住まいをしている人たちも地区に戻って語り合い、穏やかな日常と古里への思いをかみしめながら笑顔で楽しんだ。

 大鶴地区では津久見市出身の歌手川野夏美さんや、大相撲の豊ノ島関が特設ステージに登場。歌やトークで盛り上げた。両地区では昨年、地域の一大イベントである秋のふるさと祭りが豪雨の影響で中止された。坂本均さん(64)は「みんなが心待ちにしていた。大鶴は必ず復興できる、という思いが伝わる祭りになった」と話した。

 小野地区の祭りでは、自宅が被災した石井幹夫さん(68)が、土砂にまみれたハードディスクから復元した写真の展示があった。棚田や地域の行事、住民たちの笑顔など生き生きとした被災前の写真が並んだ。地区外のみなし仮設で暮らす伊藤哲也さん(58)は失われた自宅が映った写真をいとおしそうに見詰め、「思い出がたくさんあるね。懐かしくて心にじーんとくるよ」としみじみと語った。

=2018/11/06付 西日本新聞朝刊=




こんな記事もよく読まれています



LEAVE A COMMENT